最初の海外VFX企業、背景アーティストのデモリールマニュアル

この章では背景アーティストとして海外で就職するためのデモリールに関して述べていきたいと思います。まず、僕がデモリールを構成する際に考えたのは

  • 就職できるデモリールの効率の良い構成
  • VFXで実践的に用いられる構成
  • すでに就職されたアーティストで最も多かった構成

デモリールはもちろん、”ハイクオリティで商業用に作られた映像に劣らないクオリティのデモリール”こんなものが作れる、また作ろうとするモチベーションの持続があれば、作ればいい。ただ、自分もそうでしたが、人それぞれ人生・生活において優先順位は違います。今から述べるデモリール構成はどちらかというと就職するために最低限の構成で作り、VFXプロダクションにアプライできるデモリールのテンプレート構成です。いわば、大学受験で首席で入学するような成績をたたき出すのではなく、最低限の努力で合格点ぎりぎりから平均をとって入学するような感覚でデモリールを作成する構成です。

デモリールの構成

自分が特にオススメするデモリールの構成はフル3DCG・セットエクステンション・(Digital Matte Painting:以後、DMP)の3構成。
もちろん3DCG背景アーティスト特化で言うなら、フル3DCGを2、3作品のデモリール構成はベストです。しかし、VFXスクールなど1年と限られた期間で制作を行うのであれば、フル3DCG作品は一つに構成にして、他のフル3DCGで作るよりは比較的に早く作成できるセットエクステンションやDMPなどでデモリールを構成する方がフル3DCG一つの作品にクオリティをコミットできるし、セットエクステンションは特に、背景アーティストに求められる大切なスキルがデモリールで見せることができます。また、DMPは多くの会社でDMPアーティストが背景部署に所属していることが多くあります。そのため、DMPなどの2Dサイドにも興味がある人は一つ入れてみてもよいと思います。

また、この「フル3DCG・セットエクステンション・DMP」もまだ、ベストに入ります。
例えば、フル3DCG以外の他デモリールではモデリング、スカルプティングに特化したターンテーブルなどで一つのプロップを見せるなど時間とクオリティを考えた構成もできます。3DCG背景アーティストである以上フル3DCGのデモリールはある方がですが、、最悪、全てモデリング+ルックデブまでのプロップをターンテーブルで見せるデモリールも場合によれば、就職できます。ただ、ターンテーブルなどでGrayでのテクスチャ、ルックデブしていないモデルのターンテーブルは避けた方がいいです。結構昔のアーティストの中にはGrayなどのモデリングのみのデモリールで就職された方も見ますが、近年のアーティストでは1プロップを見せるのであれば、ルックデブまでされたデモリールが主流でgrayでもモデリングリールは印象としてあまり魅力がありません。なので、Turntableなどのプロップを見せる作品はテクスチャ、ルックデブまでされたデモリールがいいです。

各タイプの意識する点

フル3DCG

近年、Science Fictionやファンタジーなどの多くの非現実世界のショットはもちろん、空中や大きなスケール、地形変動アニメーションやエフェクトが特に多いショットなどはそのショットをフル3DCGで制作してしまうことが多くなってきています。なので、3DCG背景アーティスト希望でデモリールを作成するのであれば、一つにフル3DCGで制作されたショットを一つ入れるとベストです。しかし、やみくもに自分の作成したいものを作成するのはオススメしません。もちろん、ハイクオリティにできる絶対的自身があるのであれば、いいかもしれませんが。一番のオススメは何かをリファレンスにしてそれ通りに作成することです。例えば、誰かのコンセプトされたアート作品(著作権には最大のケアをして)、どこかの風景作品などです。一見、リファレンス(写真)持ってきて3DCGで作り直すのは、簡単そうに見えますが、これがかなり難しいものです。なので、リファレンス通りにモデリング、テクスチャ、ルックデブまで持っていくのをトライしてください。これはプロダクションでも全く同じ制作手順ですので、インタビューなどでデモリールを解説する際に、プロダクション通りの制作工程を経ていることはとても好印象になります。

セットエクステンション

セットエクステンションとは、最初少し聞きなれないかもしれませんが。要は、何か動画映像がありそれに3DCGを合成するような制作方法です。
例えば、一階の建物に2階、3階を追加したり、一部分をグリーンバックでそこに3DCGパートを合成することになります。これは、プロダクションではかなり一般的でどこかのロケ地で撮影されたショットなどではほぼ出くわします。もし、現実にそのものが撮影されていたとしても、エフェクトでそれを壊す必要があったり、アニメーションと深く関わり合う場合は3DCGで作りなおす必要が出てて来ます。これは特にその建物の様式にあうモデリングにその後、色味や質感などを元映像に合わせるルックデブのという視点がデモリールを作る上で大切になってきますし、また、プロダクションでも3DCG背景アーティストの中でルックデブはかなり重宝されるスキルの一つにもなります。さらに、フル3DCGで作成するよりも比較的早く作成できる。なので、一つデモリールに入れるのはオススメです。

Digital Matte Painting

DMPとは、フル3DCGでショットを作成するのではなく、最初、Photoshopでそのショットを描写して、そのイメージをnukeなどのソフトでプロジェクションする制作方法です。時間が限られてくるプロジェクトなどで頻繁に用いられる手法です。背景アーティストの部署ではたくさんの会社でDMPアーティストも背景の部署で所属していることが多く、3DCGとDMPの両方をするアーティストたくさんいます。将来的にDMPアーティストにも興味がある場合は他デモリールよりも断然に早く作成できるので、1ショットデモリールに入れるといいと思います。ただ、完全に3DCGに特化したアーティストを志望する場合は特に必要はないです。

モデリング特化型デモリール

モデリング特化型のデモリールはどちらかというとモデラーのようなリールになってきますが、大きな違いはキャラなどのモデリングはデモリールに入れないということです。3DCG背景アーティストの中でも、プロダクションの中にはモデリングサイドに特化したアーティスト、レイアウトやテック系など各分野に特化したアーティストが在籍しています。なので、モデラーのようなTurntableデモリールもありです。しかし、キャラなどは背景アーティストとしてデモリールを入れるのはオススメしません。それに加えて、背景のTurntableデモリールで見せたい場合はGrayのモデリング部分だけでなく、テクスチャ、Shading、ルックデブまでできているものを見せましょう。背景アーティストの場合のモデリングを行うアーティストはモデリングからテクスチャ、ルックデブまで行うのが一般的なのでGrayのTurntableは背景アーティストでは魅力的に映りません。

デモリール構成例

デモリールの構成例①

デモリールの構成例②

デモリールの構成例③

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